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どうしてこんなことになってるんだろう?

お風呂から上がったら兄さまとチョコレートケーキを食べるって約束してたのに、これじゃあケーキが食べれない。

今日は甘味尽くしでウキウキだったんだけど…、ケーキ、日持ちするよね。


なんて能天気な事を思いながら、お風呂から上がってきたおれはとてもとても困った事態に立たされていた。

だって居間に入れば兄さまが怖い顔でダンマリでおれを待っていて、おれの姿を確認するや否や腕を引いて、寝室に連れ込んだ。


と思ったらパンッ―!


まずおれに平手打ち。


痛いというよりびっくり、ワルイコトしちゃったのかな、おれ。


首を傾げるおれとは対照的に、終始無言の兄さまは怒気を纏っている。

静かにだけど兄さまは完全に怒れていた。

「兄さま?」名前を呼んだら、「呼ぶな!」怒鳴られた。怒られた。蔑視されちゃった。


なんだか、今の兄さまはおれを弟として見てくれていないみたいだ。

忌々しそうにおれを見下してる。


って、思ったら、「今のてめぇに兄貴呼ばれる筋合いはない」なんて言われた。


悲しいというより、これまたびっくり。


本当にどうしちゃったんだろう、兄さま。


ううん、今は治樹さまって呼ぶべき? だよね?


治樹さんよりは様付けの方がおれにとってしっくりくるし。


「えっと…」


困るおれに、一々怒声を張る兄さまは、じゃない、治樹さまはさっき電話があったことを告げてくる。


それは担任からだったらしく、治樹さまはおれに「やっぱ逃げたな」なんて責め立ててくる。

支離滅裂の説明に首を傾げるばかりのおれ。


だけど兄さま、じゃない治樹さまが悪い子だっておれを責めて、

「こんなの那智じゃねえって」

おれの体を突き飛ばした。