冗談じゃなく、いたく真面目な意見。
すっげぇ嫉妬しそうなんだ、手前のガキにさ。
だから俺は那智が弟で良かった。
俺も兄貴で良かった。
お互いにガキを作る心配もねぇしな。
ま…、今のところセックスしたいわけじゃないんだけど。
もしも俺等が異性だったら、さっさとセックスとやらをしてたんだろうか―?
想像もできねぇ。
那智は眠気に押されているのか、瞼をうつらうつら下ろし始める。
肩の力を抜いて、だけど俺の手をしっかり握って。
口はまだ語り部を続ける。
「にーさまはですね。
おれのお父さんでお母さん。
そしておれの兄さまなんです。
おれの親はにーさま。
だってずっと守ってきてくれたから。
こんなおれを叩かずにお傍に置いてくれたから。
おれの兄弟はにーさまだけ。
だってにーさまはおれのお兄ちゃんですもん。
にーさまがいるから、おれは生きている。
にーさまのいない世界は死んでるのも同じです。生きてる価値もなあい」
いらない、いらない、いらない、にーさまのいない世界はおれには不要物。
おれはにーさまのだから、にーさまイコール空気。
にーさまがいなかったら窒息しちゃうんです。
やだなぁ、にーさまがいないから窒息死。
価値の無い死に方です。
死ぬ時はこうやって、にーさまの腕の中で眠るように死にたいです。
にーさまと一緒に眠るように死ぬ。
嗚呼、価値のある死に方だと思います。
にーさまのお傍に居る時だけ、おれは価値のある人間だって思えるんです。ひとりの人間でいられるんです。
玩具じゃない、物じゃない、人間でいられる。



