「それはあんたが閉鎖的な世界を持ってるからでしょ。弟ゾッコン変態ブラコン男」
「それだけが理由なら…、俺は今までどおり生活してる。」
「は?」それはどういう意味だと福島が眉根を寄せてくる。
俺はシニカルに笑みを浮かべた。
「誰も彼もが敵に見えて仕方が無いってことだ。ファミレスの件でもそう…、敵ばっかだ」
ますます福島は混乱してるみたいだが、それは本心か、それとも演技か。
寧ろ真実を掴むまではてめぇ等も敵だって思ってる。
喉元まで出掛かった言葉は丸呑みすることにした。
言ったところで相手を激情させるだけだ。
それとも混乱するか? こいつは何を言ってるんだ。おかしいのか? 異常者なのか?
だったら開き直ってやるよ。
俺はてめぇ等から見たら異常者だ。
深くふかく弟を愛している。それこそ骨の髄まで。
俺は愛すべき片割れを見つめる。
片割れはまたブランコを漕ぐことに勤しんでいる。
揺れるブランコに笑みを零しているのは、幼少期、ブランコって遊具にあまり触れられなかったからだろう。
揺ら揺らとブランコを揺らしては、笑顔、揺ら揺ら、笑顔、えがお。
あの笑顔は俺ので、それは俺のために在るべきものだよな。
(―…ん?)
俺の第六感が騒いだ。
そっと視線を投げ、公園向こうに目を眇める。
―…塀の陰に身を隠している若い男が一匹。
真昼間だってのに陰でこそこそ、どー見てもお散歩しているようには見えねぇな。
喧嘩売ってるのか、視線は俺の片割れにばっかいってる。ほぉー、弟に惚れてくれたのか?
だったら見る目あるじゃねえか。
ま、やらねぇけどな。
髪一本も他人にはあげてやらねぇ。
俺は気付かない振りをして、持っていたペットボトルに目を落とす。
殆どなくなったサイダーに思考を回し、うんと頷いて俺は腰を上げる。
一旦、那智の元に言って軽く会話を交わした後、俺は那智をブランコに置いて、ベンチに戻った。



