「彩加、大学に来始めたんだけど…、あんたが来なくなっちゃ意味ないわけ。お分かり? この意味」
「お分からねぇ」
「あんたっ、サイッテー! 一々癪に障る男ね! さっさと大学来て、彩加に謝れって言ってるの!」
「るっせぇ。だったら今すぐ俺の前から消えたらどうだ? 癪に障らなくなるぞ」
大体そっちから俺を巻き込んだんだろうが。
癪に障る男となんで一緒にいやがる。
俺の疑問に、「弟くんに会いたかったから」意地悪く福島が返してきた。
当然、俺のこめかみに青筋が立ったのは言うまででもなく…。
「てめぇ、ぶっ殺すぞ」
「やっれるもんなら?」
「あ゛ー、マジいけ好かねぇ女だな。何だってんだ!」
「何ってあんたが大学に来てない理由を聞いてるだけでしょ!」
「てめぇにはカンケーねぇ話だろ」
「カンケーありませんともっ。彩加以外はね。単位を落とすなり、留年するなり、何なりしちゃいなさいよ!」
「あーあーあ。そんなに俺を謝らせたいか、このお節介ナナシ女!」
「えーえーえ。そんなに謝らせたいわよ、このド変態ブラコン男!」
怒声張り合って喧嘩するものだから、俺等以外誰もいない公園に声が響き渡る。
ギィ…、ギィ…、と断続的な音を鳴らしてブランコを漕いでいた那智も、どうしたのだとばかりに漕ぐ足を止めて此方を見てくるものだから決まりが悪い。
「兄さま…? 福島…さん?」
「何でもねぇよ。気にせず遊んでろ」
「そうそう、お姉さん達、ちょーっとお話してるだけだから」
「てめぇは那智に話し掛けるな」
「あたしの勝手でしょ」
「那智を傷付けたくせに」
「そ、それについては謝るわよ。あんたの弟くん、こんな可愛い子だって思ってなかったし」
「ぶっ飛ばされてぇか」
フンと俺は鼻を鳴らして、焼きドーナツを全部口に押し込む。
サイダーで喉を潤したをした後、
「誰彼信用ならねえ」
だから大学に行ってねぇ。
意味深に言葉を投げ掛けてペットボトルに蓋をする。



