(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

そして、プリザーブドフラワーが詰め込まれた箱を手にする。

「わぁ」那智は感嘆の声を上げて、目を真ん丸に見開いていた。


喜ぶことも忘れるくらい見惚れていたんだろう。

綺麗だと呟き、その内見る見る笑顔を零す。それはそれは幸せそうな笑顔だった。


早いはやい誕生日プレゼントを貰ったようだと、那智は喜んでプリザーブドフラワーが詰まった箱を胸に抱き締める。


「兄さま、ありがとうございます。大切にします」


無垢に笑う那智に、俺は心が洗われる気がした。

こんなにも笑顔を零す那智、一年前以上は見られなかった。


だから一点の曇りも無い笑顔を零す那智に、思わず心が癒される。

ホッと、そして愛しく思う俺がいる。



「良かったね」福島が優しく那智に声を掛けていた。

うんと頷く那智はニコニコッとプリザーブドフラワーを見つめている。

いつまでも見つめている。


そして、その姿を恍惚に見つめる俺がいる。


弟を愛してるからこそ、那智の喜ぶ顔は俺にとって最高の幸せだ。

生きている実感さえ湧く。

生きている理由そのものなのかもしれねぇ。



弟は俺の生きる糧。



俺の存在理由は弟のために在る。
弟が生まれるまで存在理由さえ見えなかったんだ。那智は俺のすべてだ。


他人さえも信用できないほど俺は那智にのめり込んでいる。


きっと那智も同じ理由に違いない。


だから二人で家を飛び出して、二人だけの世界を作ろうと必死になって、二人だけの幸せを掴もうと足掻いて。