サボテンの置いてある棚を眺める。
やっぱサボテンがいいかもなぁ。
育てやすいって書いてあるし、花が咲くかもしれないって書いてあるし、何より小さくて手頃だ。
三個買って…、んにゃ五個にしようかな。
「下川ってさ。那智くんとぶっちゃけデキてるの?」
突拍子も無い質問にも動じず、「デキてるって思えばできてるんじゃね?」俺は素っ気無く返答。
どう思われようが俺は構わない。
ホモでもゲイでも同性愛者でも近親相姦でもどうとでも思ってくれ。
「ま、どっちにしろあいつ、俺のだけど」
キスは余裕でできる仲だし。
意地悪く福島に言えば、
「このド変態。束縛が強すぎるのよ、あんた」
大袈裟に呆れられた。
弟を放す気ないだろ、福島に指摘されて俺は当然のように答えた。
どうして手放す必要があるんだって。
すると福島は間を置いて言った。
「あんたって弟くん以外に目を向けることを恐れてるみたい」
意味深に言われ、俺は首を傾げる。
恐れてる?
んにゃ、信用してないだけなんだけど。
率直にそれを言えば、「誰にも?」聞き返された。
敢えて何も返事はしない。
する必要なんて無いと思ったんだ。
「―…それって寂しくない?」
俺の気持ちを察した福島が静かに問い掛けてくる。
ほっとけよ。
俺は鼻を鳴らして弟がいるから…と、言葉を返してサボテンを手に取った。
うん、サボテンを買ってやろう。
三つずつ買ってやろう、きっと喜んでくれるだろう。



