「こっちはなんてヤツだ?」

「これはアイビー。とても育てやすい植物で人気なのよ」

「あっちは?」

「オリーブよ。食用植物で有名だけど、観葉植物としても最適なの」

「アロエが置いてあるが、あれもそうか?」

「此処は観葉植物置き場よ。下川」


そりゃそうだけど…、アロエまで観葉植物になぁ。

観葉植物ってのは奥が深い。


植物の知識はまるで無いもんだから、こんなに多いと迷っちまうな。

いっそのこと全部買ってやりたいけど…、置く場所がないしな。


さてと、どれにしようか。

目を動かして観葉植物たちを見比べる。


俺にはどれも一緒に見えるんだけど、那智はちげぇだろうしな。
あいつが絶対に喜ぶような植物がいい。

うんぬん悩んでいると、隣から笑声が聞こえた。

視線を投げれば、微笑ましそうに俺を見つめている福島がいた。


「ンだよ」不機嫌に聞けば、

「真剣だなと思って」笑ったまま返された。


「本当に弟くんが大切なのね。
大学じゃ普段のクソ意地悪いムカつくあんたしか見ないから、今の光景は新鮮よ。
あ、だからって彩加のことは諦めてないからね。謝らすわよ」


しっかりと釘刺してくる福島に俺は肩を竦めた。


よくもまあ、他人をそこまで想えるな。


ある意味感服だ感服。


「那智くん、今日は?」

「学校だ。後で迎えに行くつもりだ。いつもは家で留守番させるんだけどな」

「行けてないの?」

「諸事情でな」


なんとなく聞いてはいけない領域に踏み込んだと気付いたんだろう。

「そう」相槌を打つだけだった。