俺は福島にそっぽ向いて腕を組む。

突き刺さるような、訝しげな視線を体いっぱいに受けながら俺は福島にボソボソと言う。



「観葉植物が欲しいんだが」



クスリと福島が笑声を漏らしやがった。

何だよ、舌を鳴らして相手を睨めば、

「あんた、草木を愛でるタイプ?」

俺の顔をチラチラ見ながら意味深に質問を投げ掛けてくる。


そりゃどういう意味だ。

くそっ、調子が狂う。


俺は妙な苛立ちを抱きながら、ぶっきら棒に草木なんて分からねぇよっと答えた。

付け加えて弟にだと言ってやれば、


「ああ。那智くんね。
あの子好きそうよね。兄貴と違って見た目から優しそうだし、草木を愛でてそう」


福島はコロッと表情を変えてこっちだと案内してくれる。


なーんか気に食わない。


那智の名前を聞いた途端、あんなにもあっさりと動くあいつが気に食わない。



那智は俺のだぞ。

ぶすくれながら、俺は渋々と福島の後をついて行く。


案内された場所には観葉植物らしき草木がずらり。

どれを選べばいいものか分からないくらいに種類が豊富だ。


青々とした葉たちが俺に向かってお辞儀をしている。


家は狭いからでかいのは無理だな。

手頃で小さくて、でも奮発できる物がいい。



福島に率直に言えば、「ローズとかいいかも」指差して説明してくれる。



小さめの観葉植物を手に取って、ゼブラ、タロポット、サボテン、クワズ芋等など、沢山の種類の中から俺の要求に応じた植物を手に取って見せてくる。

サボテンなんかは小さくて可愛いと思ったから候補に入れた。