(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

「兄さまが抱きたいと仰るなら…、おれは兄さまに抱かれます。
兄さまが抱いてと仰るなら、おれは兄さまを抱きます。

忘れないで欲しいことは一つ。
おれは兄さまが大好きだということです。兄さまがいてのおれです」


―…優越感に支配される俺と、独占欲に染まる俺がいた。


嗚呼、那智は俺の望む言葉をいつだって与えてくれる。

望む以上の言葉をくれるんだ。


那智の後頭部に手を回して、俺は弟の顔を上げさせる。


軽く髪を引っ張っちまったけど、那智は何も言わず俺を見つめてきた。

弟の顎に指を添える。
このまま引き寄せちまったら、確実に唇が重なり合うな、俺等。


キスすりゃ、那智となんか違う関係…、何のかなぁ?


顔を近付けて、いっそキスでもしてみようか。

新たな感情が芽生えるかもしれない。


「那智、キスしてみていいか? ファーストだろ?」

「別にいいですけど、兄さまは?」

「おれもファーストだ。
ん? …いや、ガキの頃したことあったかも。俺等、ファースト済みだ」

「あっれ? ありましたっけ?」



「ああ、ガキの頃にな。ファーストじゃなくて、俺等、セカンドだ」



好奇心で俺は那智をゆっくり引き寄せた。



重なった唇。


それは一瞬のこと、でもスローモーションが掛かったように動作が遅く見えた。


薄い唇が重なる、それは血を分け合った弟のもの。


少しだけ意識したけど、鼓動が高鳴ることはなかった。



で、



率直な感想だが、キスより抱擁の方が俺は好きだ。

キスも意識はしたけど、抱擁の方が意識する。