―――…最初に出されるお冷、か。
確かにあれなら流れ作業であれ…、早く渡せなんて雰囲気は出さない。
俺もいつ、お冷が回されたか憶えてねぇもんな。
気付けばそこにお冷があった。
あの四人の中に犯人がいるとしたら、俺達のやり取りを見ていなかった可能性が高いな。
飯を食ってる間、俺の弟に対する執着心の話題を諦めた四人は、男女別に個々人で話してたし、俺は俺で那智と駄弁ってた。
俺達のやり取りを見てなくて、尚且つ俺の手元に空のコップを見た犯人は、俺が睡眠導入剤入りお冷を飲んだって思ったんだ。
じゃあ誰が、いつ、どうやってお冷に薬を入れた?
「頭捻っても分からねぇな。俺は探偵じゃねえし」
分かっていることは二つ。
優一、浩司、福島、安河内。
この四人の中に薬を混ぜた奴がいるのは確かだってこと。
そんでもってチンピラに依頼を頼んだのも確かだってことだ。
正直、優一以外の面子は大学でしか知り合ってない。
浩司とは大学入って直ぐに知り合ったけど、福島と安河内は極最近。会う契機は最悪だ。
恨まれての犯行を考えるなら女性群。
だけど優一と浩司も外せない。
優一は高校からの知り合いだから何かしら恨みを抱かれてもおかしくないし、浩司とも何だかんだで一年の付き合い。
俺の性格を把握し始めても良い頃だし、気に食わないと思えば一年どころか一ヶ月で恨みを抱ける。
性格に難があるって手前も分かってるし、高校時代、そういう経験もしてきてるからな。
「暫く様子見、だな…。
相手の出方を窺うしかねぇ」
はぁ…、めんどくせぇな。
だから他人と関わるのは嫌なんだよ。
俺等の安寧とした世界を崩しちまうんだから。
今まで血反吐が出るような思いで日々を過ごして、やっと手に掴んだ安らぎ。
それが危機に陥ってるなんて。
ヤダヤダ、他人なんてめんどくせぇし信用ならねぇし。



