だけど流れ作業は皆が見ていた。
料理が来た時点で早く回せだの何だのな雰囲気だったんだからな。
ということは…、俺の料理にこっそりと入れられるのは、俺の隣に座っていた―…。
福 安 浩
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壁 ┃ 廊
┃
側 ┃ 下
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那 俺 ★
「優一ってことになる。
けど、あいつ馬鹿だしな…、顔にも出やすい…。
何より、俺は注文した飯を全部食った。那智が誤って睡眠導入剤を飲む可能性は低く、寧ろ俺が餌食になっていた可能性が高い」
じゃあ俺が席を離れた時に―…。
いや、俺はあの時、手洗いに行った振りをして皆を陰から見張っていた。
あの時にはもう食事を終えていた。
残りはデザートだけ。
那智と福島、安河内が各々食後のデザートを待っている状態。
注文した料理は空で、誰もが食事を終えていた。
どう薬を煽る?
俺は苛立ち気に頭部を掻いた。
「俺を狙って、尚且つ那智が俺の料理を食っちまう場面なんかあったか?
俺はカキフライ定食を頼んだけど、那智、横から食ったなんてことなかったし。
敢えて那智が俺の物を食っちまったと言えば、デザートに頼んだケーキ、か」
あいつ、苺のショートケーキも、ミルフィーユも食いたいって駄々捏ねてきやがったしな。
俺と半分ずつ食ったって場面はあったけど。
いやけど、それじゃあ、半物ずつ食った俺だって眠くなるだろ。
待て待て待て、睡眠導入剤っつったら普通固形だろ。
ということは飲み物に混ぜるってのが筋だろ筋。
飲み物…。
俺はカキフライ定食に付いてたほうじ茶を飲んだ…、けど那智はほうじ茶に手を出さなかったしな。
あ、そういうや那智。
ビーフドリアを食ってる時に…、
『兄さま、兄さま』
『ん? どうした?』
『兄さまのお水貰っていいですか? おれ、全部飲んじゃって』
『ああ、別に構わねぇよ。俺には茶があるしな。ほら、空のコップはこっちに渡せよ』
『ありがとうございます。はいこれ、コップ』



