(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

俺は眉根を寄せると、素早く那智を横抱きにして近くの公園に飛び込んだ。

薄暗い公園を隅に設置されているベンチに腰掛けて、外灯の下、俺は抱えている那智の顔を覗き込む。

声を掛けても、軽く頬を叩いてみても、抓ってみても、「んー」小さな声を漏らすだけ。

那智の苦手な擽りをしても起きる気配は無い。


(おかしい。那智は睡眠が浅い方。
野外で、こんな無防備に眠るなんてぜってぇねえのに)


俺は那智を観察する。

眠っているだけで、それ以上の異常は見られないようだが…、それにしたって眠りが深い。


どんなことをしても起きない、なんて。



「眠らされてるってのが妥当…だよな。

けど那智が? なんで?」



疑問は更なる疑問を呼ぶ。

そして行き着く答えは睡眠導入剤、という薬物の名。




まさか、那智…、盛られた…のか。




そこまで考えた刹那、バイク音が聞こえてきた。


ただのバイク音。


でも音は確実にこっちに近付いてくる。


しかも複数。


ひとつ、ふたつ…みっつ、音は三つだ。



なんとなく嫌な予感がした。