「下川、幾らなんでもそれは無いんじゃないか。
好き通り過ぎて執着だぞ、それ」
ほのぼのと兄さまとやり取りをしていたら、通路側に腰掛けている浩司さんが憮然と兄さまに告げた。
もはや今のやり取りはブラコンの領域じゃない、束縛の域だ。
仮に自分達が恋人(デキ)ているとしても、それは恋人じゃない、執着の域。異常だ。
浩司さんの言葉が凛…と、やけにテーブル内に響く。
異常。
そう言われても、おれには理解ができない。
どうして今のやり取りが異常なのか…、普通の人にはおれ達の普通が“異常”に見えるんだろうか。
正常じゃないんだろうか。
でも兄さまはどこ吹く風でシニカルに笑うだけ。
取り合う気は無いみたいだ。
便乗する優一さんも、
「ツンデレ治樹の愛が深過ぎる!
デレにアウチなんだぜ!」
明るいノリで重々しい空気を蹴散らす。
おかげで重苦しい分厚い空気の層は掻き消えた。
それまで黙然と黙っていた安河内さんと福島さんも、兄さまにデキているのかと物申す。
それだけ、おれ達のやり取りが異常だったみたいだ。
兄さまのおれに向けた言葉が尋常だったのか…、やっぱりおれには理解ができないや。



