(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

おれの答えに満足気に笑う兄さまがいる。

その顔は何処となく歪んでいるけれど、おれには分かっている。

兄さまは歪んでるんじゃなくて、少し我が儘な子供の部分をおれに見せてるだけなんだ。


「いい子だ。那智」


グシャって頭を撫でられて、おれはアタタカイ気持ちに包まれる。

兄さまを喜ばせている。
その現実が純粋に嬉しかった。

おれは兄さまの喜ぶ姿が何よりも嬉しい。生きている実感を持てる。


「ちょ…、下川。あんた」


福島さんの唖然とする声。

気付けばテーブル内は静寂に包まれていた。

静寂、否、沈黙が包まれていることに気付いたのは、その数秒後のこと。

愕然としている皆におれは首を傾げた。

おれは、おれ達は、何か皆を驚かせるような、不味い会話をしたっけ。


そんな中、兄さまだけがシニカルに笑っていた。

 
皆の沈黙を愉快気に見ている。

まるで勝ち誇ったように、皆に向かって目を細めて一笑していた。


誰かが何かを言う前に料理が運ばれてくる。

最初におれの注文したビーフドリアが運ばれて、おれはご満悦で中を覗き込んだ。


こんがりとチーズの表面が焼けているビーフドリア、凄く美味しそうだ。


でもまだ手につけない。
熱いっていうのも勿論あるけど、兄さまの料理が運ばれてないから…。

「食べていいんだぞ」

兄さまの言葉に、

「一緒がいいです」

おれは目尻を下げた。


やっぱりご飯は兄さまと一緒に食べたい。