(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

メニュー表に目を落としていたおれは一番端っこ、壁側の席に腰掛けていた。


その隣に兄さま、その隣に浩司さん。

おれの向かい側に福島さん、順に安河内さん、優一さんが腰掛けている。


席順は兄さまの隣ならどうでもいいんだけど…、異様に空気が重たい。
不機嫌な人間が二人もいるからだろうけど、空気が重たくて圧死しそうだ!


和気藹々と語っているのは安河内さん、優一さん、浩司さんなんだけど…、おれ達は無言。

兄さまと福島さん、妙に視線を合わせては火花を散らしてるし。


一応、福島さんにはお世話になってもらったんだし、仲良くして欲しいのがおれの本音なんだけど。


空気を散らすためにおれは兄さまの服を引っ張った。

コロッと表情を変える兄さまは、どうしたっておれに微笑を向けてきた。


「このブラコン」


福島さんの悪態も兄さまはスルー。
おれはメニューを指差して、これとこれが食べたいとアピール。兄さまはメニュー表を覗き込んで「ゲッ」声を上げた。


「那智、どっちかにしろよ。ケーキ、二つも食えねぇだろ?」

「ぅー…」


でも苺のショートケーキも、ミルフィーユも食べたいんだ。


どっちも捨て難い。

どっちも捨てられない。

どっちも美味しそう。


「にーさま」

「………」

「にーさま…」

「……。わーったわーった、兄さまが片方頼んでやるから、半分ずつな」


負けた、兄さまは投げやりに返事を返す。

おれははにかんだ。

兄さま、何だかんだ言っておれの我が儘を聞いてくれるから大好きだ。

聞いてくれなくても、兄さまは世界で一番好きだけど。