それでも兄さま、まだションボリとした声を出す。
「那智に疑われた。終わった、俺。もう生きる価値もねぇかも」
「お、終わってません! これからが始まりですからー!」
「でもなー」
「兄さまー!」
「オワッタ」
「終わりませんー!」
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
謝罪を連呼するおれを見下ろして、兄さまはおれに聞く。
「兄さまのこと、もう疑わないね?」
「はい、誓います!」
「絶対か?」
「絶対です!」
「兄さまのこと、好きか?」
「大好きです!」
「那智、忘れてねぇよな? 俺との約束」
「忘れてません! おれ、兄さまに全部あげます! ん? あげました!」
「アイしてる?」
「アイしてます!
……兄さま、これ、おれ達、言ってましたっけ?」
「馬鹿、家族同士でも言うだろーよ」
「そうなんですか。おれ、恋人さん達が言う台詞と思っていたので…、じゃあ、アイしてます!」
「誰よりも?」
「はい、兄さま以上の人はいません! おれ、ずーっと兄さまと一緒です」



