(旧)ふたりぼっち兄弟【BL寄り】

だから問題集はちっとも進んでいない。

ここ三日、兄さまは問題集をチェックしていないから、できていない部分を今日に回してやり終えてしまおうって思ったのに。

今日もページが進まなかった。
午前も午後も教科別に問題集をやってたのに、指定されたページの半分も終わっていない。


「どうしよう…。
今日はチェックするかなぁ。

さすがにするよな。兄さま、マメだし」


怒られるだろうな。

気鬱な気持ちを抱いて兄さまの帰りを待つことにした。

せめて指定ページに近付こう、少しでも進めよう、って努力はしたけど駄目だった。


ちっとも進まない上に、おれ、上の空になることが多かった。



案の定、帰宅した兄さまは三日分の問題集を見せてくるよう言ってきた。

そろそろ来るとは思ったんだよな。

すっごく躊躇ったけど、どうせ見せることには変わりないから、腹括って兄さまに問題集を献上。


後は野となれ山となれ状態だった。


問題集を眺める兄さまにビクつきながら、どんなお小言を貰うのかって息を殺す。


この、沈黙が、とつても、とつても、痛い。



「ん、頑張ってやってんじゃねえか」



予想外な言葉を突きつけられて、

「へ?」

おれは目を丸くした。
だって指定ページの半分もやってないのに。

そしたら兄さま、


「あんな事があった後だ」


無理にしろなんて言うわけ無いだろ。
ここまでやってるだけエライよ。

グッシャグシャに頭を撫でてきてくれた。

兄さまの優しさが嬉しくて、おれ、少しだけ泣きたくなった。


「那智、気晴らしに飯にでも食いに行くか」


おれの不安を見越しているのか、兄さまはおれを外に誘ってくれた。

兄さまには敵わない。
そう思った瞬間だった。