「―――…わぁあ、兄さま! ありがとうございます!

凄い凄い、これがピアスですか。
で、こっちがピアッサー。

初めて手に取りました。
お母さんが持っていたのは知ってましたけど、こうやって手に取ったことなかったですし」
 

 
翌日。

学校を休ませた那智に(俺も大学は休んだ。バイトには行ったけど)、俺はプレゼントを持って帰った。


中身は十字架を模ったピアスとピアッサー。

俺からのプレゼントに那智は大はしゃぎしていた。


大抵、あいつは俺からのプレゼントなら何でも喜ぶ。

大はしゃぎしてピアスを手に取る那智に細く笑って、「片っ方ずつな」俺は弟の頭を撫でた。



「お揃いですか!」


「ああ、お揃いだ。兄さまとお揃い」



那智は嬉しそうに綻ぶ。
 

中学の校則なんざ念頭にも無いんだろう。

肌身離さず付けておくと笑顔を見せた。


「じゃあ、那智が俺の耳に穴をあけてくれな。俺は那智にあけてやるから」

「え…兄さまのを? おれ、上手にあけられるかな…」

「だーいじょうぶ。那智ならやれるから。それに那智があけなきゃ意味がねえ」

「おれじゃなきゃ?」


首を傾げる那智の頭をグシャグシャに撫でて、俺は心中で忍び笑いを浮かべた。