「このままほっといたら、おまえが泣きつける場所探して他の男のトコ行きそうで気が気じゃねーんだけど。
……まぁ、他の男のトコなんか、行かす気もねーけど」
そう言った都築くんが、少しだけ笑う。
この部屋に入ってから初めて見る笑顔だった。
「頼むから……、ツラい時は俺に泣きつけよ」
ツラそうな笑顔。
都築くんのこんな顔、付き合う前は見た事なかった。
今、都築くんにこんな顔させてるのは、あたしだ。
大切なモノを守りたいって気持ちが強くて、勝手に突っ走っちゃって。
結果、心配かけて怒らせちゃった挙句、こんな顔させて。
でも。
都築くんとは楽しい時間だけを過ごしたかったから。
元カレの時も本宮先輩の時も過ごせなかった、幸せだけが支配するような時間を。
だから、嫌がらせだとかそんなのは、ひとりで片付ければいいって……、そう思ってた。
