付き合う前の方が、なんて。
そんなわけないのに……。
「おまえ、本宮を追っかけてた時には、俺の前で弱音も吐いてたしよく泣いてた。
それが付き合いだした途端、笑顔しか見せなくなった」
「それは……、」
「悩みだとかが何もなくて、ただ楽しくて笑ってんならいーけど……、そうじゃねーだろ。
どっちかっていうと、俺のために笑顔でいる感じがして、ずっとイヤだった」
そんな事ない、って言えなかった。
都築くんが勘付いてるのが分かってたから、意識して明るくしてた事もあったから。
「本宮もいつか言ってた。
前の男を好きだった頃はよく泣きついてきてたのに、
自分を好きになった途端、見てるのがつらくなるくらい、笑顔しか見せなくなったって。
俺も今そんな気分」
「……」
