ドアをじっと見ながら言うと、その向こうで焦ったような声がする。
『ゆ、許さないって意味分かんないし。
閉じ込められてるくせに! バカじゃないの?!』
「ここ、放送室だよ」
『それが?』
「ここにある録音機材で、今の会話全部録音してたって言ったらどうする?
誰に閉じ込められたか、声で分かるよね」
……本当は録音なんかしてないけど。
でも、こんなトコに閉じ込められるとか冗談じゃないし、ここは嘘でもなんでも使ってどうにかしないと。
さすがにここで一晩とかは耐えられないし。
ドアの向こうでひそひそと声がする。
“どうする?”みたいな事を話し合ってるみたいだけど……。
待っててもラチがあかないから、カギを開けてくれるように交渉しようとした時。
『いいよ、もう行こ!』って声がした。



