「ごめん……、唯」 それだけ言って、あたしに背中を向けて走り出す。 その背中が、どんどん涙で隠れて、最後には見えなくなった。 先輩の姿が見えなくなった途端、我慢してた涙が一気に溢れ出す。 ポタポタと落ちる涙が、裏庭の地面に吸い込まれていった。 優しい笑顔も 広い背中も あたしの名前を呼ぶ声も 全部が好きだった。 全部が、大好きだった。 想いに応えてもらえなくても、傍にいたい。 そう思うくらいに、先輩が好きだった。 「……っく、」 次から次へと涙が落ちる。