ぐっと気持ちを抑えながら、先輩を見つめる。
「あたしの気持ちが変わって、先輩に泣きつく前に早く行って……。
ギリギリ、なんです……」
先輩の顔が一気に歪む。
つらそうに……、苦しそうに。
「ごめん、唯」
そして、ぐっと顔を上げて走り出す。
あたしの横を先輩が通り過ぎた瞬間、気持ちがぷつっと切れるのが分かった。
「……先輩っ!」
大声で呼んで、顔半分だけ振り向く。
先輩は数メートル先で止まってあたしを見ていた。
大好きな瞳が、あたしを見てた。
「先輩……、ずっと……、ずっと、好きでした」
一粒、涙が落ちた。
ゆらゆら歪む視界の中で、先輩がつらそうに微笑む。
そして。



