「先輩は、作り笑いがうまいですよね。
それとも、あたしが見てきた笑顔は、みんな作り笑いだったとか……、そういう事なのかな」
「唯?」
「先輩が逃げたいなら、それでもいいと思う。あたしが何か言う権利もないのは分かってる……っ。
でも、それを分かってて言います。嫌われるとしても、言います!
だから、ちゃんと聞いてくださいっ」
じっと睨むように見つめて言う。
胸がドキドキしてうるさかった。
もしも。
あたしが言った事で先輩が彩香さんのもとに走り出しても。
あたしは絶対後悔なんかしない。
往生際の悪い心を、そう言い聞かせる。
だけど、まるで“イヤだ”って言ってるみたいに、ドキドキが止まらなかった。
身体が怖がって怯えてるみたいに、内側から震えてた。



