「別に。“いい恋愛”がどんなんだかも知らねーし」
「……」

「けど、自分でも気付かないうちにここまで誰かに惚れ込むとか。

そこまで強い気持ちになれた恋愛を、“悪い恋愛”だとは思わねーし」

「都築くん……」

「気付いたら好きになってるモンなんだろ?

本能って事だし、後悔なんかしても仕方ないし、するつもりもない」


きっぱり言うと、沢村が俺をじっと見上げる。


「おまえも、本能に従えばいーんだよ。

俺もそーするだけだから、こんな時まで俺の事なんか気にすんな」


申し訳なさそーな顔して聞いてた沢村が、俺を見上げてふっと笑った。

そして、階段を登りきってから、俺を振り返ってにこっと笑顔を見せた。



「任せて。本能なら得意分野だから」