困り顔で微笑む都築くんを見て、佐藤さんが頷く。
浮かんでる涙が、コクンと頷いた反動で床に落ちた。
落ちた涙を先頭に、ポタポタと佐藤さんの瞳から涙が溢れる。
外では雨が降り出したみたいで、さぁ……、って音が静かに教室を包んでいた。
「……ごめん。佐藤」
そう言って佐藤さんの頭を撫でた都築くん。
ふたりの姿が、本宮先輩とあたしに重なる。
“ごめん、唯……”
いつかきっと言われるって分かってるだけに、胸が痛かった。
佐藤さんはしばらく俯いてたけど、顔を上げると笑った。
「ありがとう……。これでやっと前に進める」
まだ涙目だけど、キレイな微笑みを浮かべてそう言った。



