「ありがと……、都築くん」 泣き声の合間に聞こえた、声。 その声が、胸を刺すようだった。 本宮を想って泣く沢村。 キラキラ光る涙が1粒1粒凶器になって、ナイフみたいな鋭さで俺を刺していく。 沢村が本宮を想う気持ちが、痛くて痛くて仕方ない。 だったら突き放せばいいだけの話なのに。 「ありがと……、」 「……別に。おまえが無事なら、それでいい」 想いの大きさを感じながら、腕ん中の沢村をギュっと抱き締めた。