「先輩があたしの事好きじゃないのくらい、あたしだって気づいてる。

先輩が……、まだ彩香さんを忘れられないでいるのだって。

それなのにあたしにキスしたら、先輩、後で絶対後悔するもん」

「……別に後悔なんかさせとけばいーじゃん」

「イヤだよ。あたしにキスした事後悔なんかして欲しくない。

先輩がキスしてくれたら、きっとあたしの中では一番幸せな思い出になる。

あたしにとってはそんな大切なキスを、先輩が後悔するなんて……、そんなの、寂しすぎるから」

「……」


沢村の言いたい事がよく分かって、何も言えなくなった。


自分にとって大切な思い出なら、本宮にも同じように思って欲しい。

自分とのキスを後悔なんかされたら……、確かに、寂しいのかもしれない。