胸がドキドキしてうるさすぎるくらいだった。
それでも、なんとかもごもごしながら言うと、都築くんがあたしの手を引っ張る。
そして、顔を近づけて耳打ちした。
「今の、佐藤見てたし。でも今振り返るなよ」
「え……」
小声で言われて、ハっとする。
きっと今振り返ったら、鬼みたいな顔した津田さんと佐藤さん、他女子の視線に刺されるんだろうな……。
「それに、今してる会話とかも、見てる分にはイチャついてるように見えていいんじゃねー?」
なおもあたしの耳の近くで話す都築くん。
本宮先輩と同じくらい低い声が、鼓膜を震わせる。
緊張して固まっていると、それに気付いた都築くんが、クックって喉の奥で笑った。
「おまえ、緊張してんの?」



