*** 「古高俊太郎が新撰組に捕らえられたので、会合場所が池田屋に変更になりました」 宵々山当日の昼頃、長州藩邸の桂さんの部屋に久坂さんが訪れて来た。 私は、昼間、桂さんの秘書の如く一緒にいたから、私も久坂さんと顔を合わす。 昨日のあの夜から、久坂さんは、私に目を合わさない。 もしかしたら私もかもなのかもしれないけれど。 ただ、私は今、 「心ここにあらずだね」 そう。心ここにあらずなんだと思う。 桂さんに言われて、「そんなことないですよー」って言う元気はあるらしいけど。