桂さんはすぐさま立ち上がり、幾松さんが差し出した刀をすぐに手に持ち部屋を出た。



「君、名は?」


桂さんの声が私に向けられる。
なんとなく緊急事態だとはわかったので私も早口に答えた。



「菅野桃です!」

「菅野君。……あとはよろしく」

「……は?」




桂さんは私によろしくとだけ言って幾松さんと部屋を後にした。


あとはよろしくって何だよ!
何をしろと!?



畳に座り込み、思考をいろいろ張り巡らしていると、バタバタバタと足音が聞こえて



「御用改めだ!」



シャキーンと、部屋に入って来た男の人が白刃煌めく刀を振りかざした。