「たく……、しょうがないなぁ」 涼香さんも諦めてくれたみたいで私のこと撫でてくれてる。 キタジ君はずっとオロオロしている様子。 この状況も悪くはないけれど、やっぱり沖田さんが心配だよ。 「ねぇお母さん」 「ん?」 「私の好きな人が、ずっと咳してて、この間も酷くて、大丈夫なのかすごく心配なの」 まるで本当に親子みたいに涼香さんには打ち解けられる。 「だから帰りたいんだけど」 「ねえ、それって労咳じゃない?」 ろう、がい? 私は首を傾げた。聞いたことのない名前だった。