*** 「今日はおおきに桂先生、うちも呼んで頂いて」 「かまわんよ涼香、楽しくやろう」 京の町に、再び暑い夏が来た。 夜の今でも蒸し暑い。 それでも川沿いのこの座敷は涼しかった。 建物からむきだしになって川の上に建てられたこの座敷は“納涼床”といって、京の夏の風物詩でもあった。 ここは祇園でも宮川町でもない先斗町、 桂は幾松と涼香を連れて今日は久しぶりの休暇だ。 新撰組は力を増して、仕事も増えて ああああ、といった感じ。 今日涼香を呼んだのは、もう一人連れて来たからで、