山南は明里のことを買い取っていた。 つまり、明里はもう遊女じゃない。 苦しい思いもしなくていいし、故郷にも帰れるのだ。 君に幸あれ、と。 *** 「…阿、呆……」 明里さんは山南さんが窓を閉めた後、ズルズルと壁づたいに崩れていった。 もう涙でボロボロだ。 そりゃそうだ。 私だってやっぱり泣いているぐらいだもの。 格好いいけど、山南さん格好いいけど 最低だ。 切な過ぎるよ。 永倉さんが明里さんの背中をさすって立とう、と促していた。 「山南さん………」