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「泣いてるのか……?」

庭の真ん中で私は泣いていた。
山南さんが思い残すことはないなんて言ったの絶対嘘だって。


そんな私を永倉さんは後ろから見つめた。



ダメだダメだ。私が泣いちゃ。



「そんなに強く擦ったら目腫れるぞ」


そうは言ったってこうしないと涙はとまらないんだ。


「永倉さん、お願いです」

「なんだ?」

「好きな人が知らない間に死ぬのなんて絶対に嫌なんです。だから、だから」

「……山南さんの馴染みを迎えに行くか」




コクコクと頷いた。


武士なんて嫌いだ。武士道だとか言って死ぬなんて。