「あ、斎藤さん」 今日は昼間の斎藤さんの巡察に付き合わせてもらっていた。 隊を引き連れる斎藤さんの隣を歩きながら、斎藤さんの羽織りに触れる。 「ほつれてますよ?」 「……………」 ほつれたところに目をやって、斎藤さんは無表情のまま頷く。 「私、直します!屯所に戻ったら羽織り貸して頂けませんか?」 斎藤さんはその表情のまま私に目を向けた。 「……いや、いい…」 「お願いします!やらして下さい!」 何かお役にたちたいんです! 私の渾身のお願いに、斎藤さんは渋々頷いた。