「そうだけど、俺はああいう女女したタイプは苦手だから。
まぁ、部員には人気あるから、好きなんじゃないの」


意外な答えが、隼人の口から飛び出した。


ああいう可愛い子がタイプじゃないって、じゃあ、どういうタイプが好きなんだろう。


「じゃあ、どういうタイプの子が好きなの?」


私のその問いに、隼人は少し黙った後、ちら、と私の方を向いた。


でも、直ぐに向き直ってしまった。


「お前に話す義務はない」


気のせいだろうか、奴の顔が赤くなっているように見えた。


こういう所、お子ちゃまなんだから。


何となくからかいたくなってくる気持ちが湧き出てきた。


「ふん。だからいつまでたっても童貞なんだよ」
「テメェ、聞こえてんぞ!」


アイツが殴るそぶりを見せて、右手の拳を振りかざす。


私はわざときゃあ、と大声を出して、頭を押さえた。


舌をぺろ、と出しながら。


アイツは拳を下ろして、前を向きなおす。


「バーカ。とっとと歩け。
俺はお前と違ってモテるから、選り取り見取りで困ってるだけ。お前と一緒にするな」
「はぁ?何よ、ちょっと女の子に騒がれるからって良い気になっちゃって」


私たちはそんな調子で、自分たちの家へと、その歩みを進めていった。