べつに圭太とならそれで良かったし幸せだと思った。好きな男に抱かれるのは。

 帯に手がかかったけれど、圭太はそれ以上何もしない。

 唇をあちこちに押しつけ吐息で佐恵の肌を温めるだけで、そのうち佐恵の手をぎゅっと握り、胸に顔を押しつけて動きを止めた。

「し、心臓に悪いと思うから……」

 ど、どうだろう。心臓に悪いかは知らないけれど、息切れとか動悸とかしてきたら危険かしら。


 圭太は食いしばって堪えているようだ。どうしたらいいのか。

「わ、わたし」

「いいんだ、だいじょうぶ」

 顔を上げた圭太の目は潤んで、頬は少し赤くなっていて、わたしはなんだかもの凄く愛おしくなり圭太の頭を掻き抱く。