圭太は「ビックリするものを見せてあげる」と、何か悪戯小僧のようにわたしを街に連れ出した。

 日曜日だったけれど、体調を気遣いながら圭太と出かけた。

 途中、喫茶店で(わたしはこのとき初めて入ったので挙動不審だったに違いない)珈琲を飲み店内のざわつきの中でお互いの声を手繰り寄せながら会話をし、珈琲をひとくち、そして話すを繰り返して、珈琲とは会話の合間に飲むから良いのかしらと思った。

 数年前から喫茶店が流行りだし、あちこちに喫茶店ができていたが、ここは圭太のお気に入りの店らしい。

 学生らしき人々が目立ち、混み合っていた。

 空席を見付けるのに店内をぐるりと歩き回って、隅っこのほうの2人席。