いつも「佐恵ちゃん」と呼ぶくせに、たまに格好つけて呼び捨てにする圭太だけども、似合わなくてわたしは吹き出しそうになるが、帯をちょっと触るようにして笑いを噛み殺した。


「縁、ね」

「そうだね」

「素通りされて、あのまま野垂れ死ななくて助かったわ」


 ふふ、と笑ったら圭太も笑った。


「ガックリ倒れそうで真っ青になってる佐恵ちゃんを見たときは、ビックリしたけど」

「わたしだって、圭太の家の大きさにビックリしてお漏らししそうになったわ」


 あっははは、と二人して大きく笑った。