雨音色

「・・・お嬢様」


何時の間にか、外では雨が降り出していた。


天井に跳ね返る水の音が聞こえる。


幸花は窓の外を見つめていた。


「何?」


「・・・お嬢様は、本当にあの方と御結婚されるおつもりですか?」


幸花が運転席の鏡を見る。


「・・・何が言いたいの?」


「差し出がましいかもしれませんが、私としては、

お嬢様とあの方は合わないかと」


静かな、そしてはっきりとした口調だった。


そこに映ったタマの厳しい表情は、今までに見たことがなかった。


見合いを散々に終わらせた時でさえ、このような顔はしなかった。


「何故そう思うの?」


「・・・」


タマは何も言わない。


ただ前を見つめているだけだった。


その先には、彼女の知らない何かが映っているようだった。


雨音が響く。


狭い車内に、強く、激しく。


「先日の如く、根拠が無いのであれば、そういう事は言わないで欲しいわ」


「・・・申し訳ありません」


タマが頭を下げた。


静けさだけが、車内を漂っていた。