しばしの沈黙が流れる。
「・・・はい?」
彼は目を見開いた。
「実は先ほどの電話でだね、若い独身の助教授がいないかと聞かれて。
見合いの相手を探してくれるよう頼まれたんだ」
突然の話に、彼はまだ何を言われているのかさっぱり理解できていないようだった。
「でも、それは別に僕じゃなくても・・・」
「まぁ、君ももう25歳なら適齢だ。いつまでも独り身でいるわけにもいかないだろう」
「いや、しかし・・・」
牧は笑った。余程、藤木の狼狽加減が可笑しかったのだろう。
「別に見合いしたからといって結婚が強制されるわけではない。
軽い気持ちで相手のお嬢さんに会ってみたらどうだ。
それに相手は財閥の娘だ。申し分もない」
牧は立ち上がって電話のある所に向かう。
「そうは言っても先生、先生もご存知でしょう。
僕には病弱な母がいます。それに研究をしたいので結婚は・・・」
「いや、お母様は君に早く結婚してほしいと思っている」
「え、そ、そうなんですか?」
「そうだ。さきほど確認した」
「え、え?!どうやって…」
牧が満足そうに微笑む。
「でも、先生、僕、お嬢様とか、そういう方は・・・。身分の方も・・・」
牧は相手の名前が書かれたメモを手に取る。
「そうと決まったら早速電話しよう」
「せ、先生、そんな」
「良いじゃないか。ちなみに相手は山内財閥の末娘だ」
「や、山内財閥!?ますます僕には…」
「まぁまぁ、末娘らしいし、そんなに気負いなさるな」
牧が片目をぎゅ、と瞑る。
「いえ、そういう問題じゃなくて・・・」
「まぁ、人生経験として、な」
言うや否や、牧は既に受話器を耳に当てていた。
「あ、もしもし牧です。先ほどの件ですが・・・」
藤木は後ろで発する言葉を失っていた。
「・・・はい?」
彼は目を見開いた。
「実は先ほどの電話でだね、若い独身の助教授がいないかと聞かれて。
見合いの相手を探してくれるよう頼まれたんだ」
突然の話に、彼はまだ何を言われているのかさっぱり理解できていないようだった。
「でも、それは別に僕じゃなくても・・・」
「まぁ、君ももう25歳なら適齢だ。いつまでも独り身でいるわけにもいかないだろう」
「いや、しかし・・・」
牧は笑った。余程、藤木の狼狽加減が可笑しかったのだろう。
「別に見合いしたからといって結婚が強制されるわけではない。
軽い気持ちで相手のお嬢さんに会ってみたらどうだ。
それに相手は財閥の娘だ。申し分もない」
牧は立ち上がって電話のある所に向かう。
「そうは言っても先生、先生もご存知でしょう。
僕には病弱な母がいます。それに研究をしたいので結婚は・・・」
「いや、お母様は君に早く結婚してほしいと思っている」
「え、そ、そうなんですか?」
「そうだ。さきほど確認した」
「え、え?!どうやって…」
牧が満足そうに微笑む。
「でも、先生、僕、お嬢様とか、そういう方は・・・。身分の方も・・・」
牧は相手の名前が書かれたメモを手に取る。
「そうと決まったら早速電話しよう」
「せ、先生、そんな」
「良いじゃないか。ちなみに相手は山内財閥の末娘だ」
「や、山内財閥!?ますます僕には…」
「まぁまぁ、末娘らしいし、そんなに気負いなさるな」
牧が片目をぎゅ、と瞑る。
「いえ、そういう問題じゃなくて・・・」
「まぁ、人生経験として、な」
言うや否や、牧は既に受話器を耳に当てていた。
「あ、もしもし牧です。先ほどの件ですが・・・」
藤木は後ろで発する言葉を失っていた。



