加藤は機捜の後輩に電話を入れた。

「最近、中国人連中の中で姿を消した者か、或いは消されたってえ噂のある奴を調べて貰えないか」

(千葉の首無し死体絡みっすか?)

「ああ」

(調べるのは爆盗団絡みで?)

「もっと荒っぽい連中も含めてだ」

(あいつら、いつの間にか消えたり出て来たりするからなあ)

 そう言いながら、後輩は一週間もあれば大体判ると、加藤の頼みを引き受けた。

 そして、その後輩から連絡があったのは、本人が大見得を切った通り一週間後の事であった。

(ちょっと面白い情報があるんですよ)

「もったいぶらないでさっさと言えよ」

(先輩が言っていた中国人の件ですが、ここんとこの奴等は至って平和なもんでして、小さないざこざもありません。ジュクやブクロから消えた連中にしても、みんな本国に一時帰国ってやつです。それよりも、別なとこから妙な動きが)

「何だ?」

(公安です。それも外事課。本庁の中で最近妙に動き回ってんですが、先輩から依頼された件で中国人連中を調べていたら、奴等とバッティングしたんです)

「どういう事なんだ?」

(外事課の連中がマークしていた人間が、何人も姿を消したらしくて、それで慌ててあちこちに手を回してる、そんな感じなんですよ)

「なんでまた外事課が中国人連中にまで?」

(マークしてた人間、北の奴等なんです。北は中国と繋がっていますし、シャブを日本に持ち込む場合も、中国経由とかが多いですから。それでですね、話の続きがまだあるんですが、外事課の奴等、やたらと不明死体とかの確認してるんですよ。ですから、そのうち先輩のヤマへも顔出すんじゃないですかねえ)

 加藤は後輩からの情報を聞いて、大きく視界が開けた気分になった。