「今夜、向かう事になりました。仰られた通り、何も知らされずに反逆者の片棒を担がされる者を救いに。それと、こちらのメモに記された人間を早急に参考人聴取しなくては……」
「本質を……」
「え?」
「見誤らずに……」
「それはどういう意味なんですか?」
「この国に潜むもの……潜んでいるものをしっかりと見つめていれば判ります。魑魅魍魎の館……何十年、何百年経っても、その館に巣を作る者は後を絶たない。貴女方が居る、直ぐ近くにその館がありますよ……」
「近く……霞ヶ関、ですか?」
「ええ……」
三山は2.26事件を思い出していた。その事件では、首相官邸や閣僚の公邸、国会議事堂等、霞ヶ関及び永田町が占拠された。
行動を起こした青年将校達は、当時の政治、政権の腐敗を正そうとした。決起側の言い分ではあるが、当時、世界的な恐慌の中で、日本の農民社会は貧困の極みに立たされていて、それに対し何等手を打たなかった国家体制を、変革させようという義憤からの行動であった。
今の日本を見れば……2.26事件から七十年以上経ったが、何だか日本を取り巻く情勢、環境が酷似しているように思えた。
日本を、国家というものを真に憂う者程、この国の政治や政治家達に義憤を感じ、焦燥感に身悶えるものかも知れない。政治に諦めを抱いた者は、何も行動を起こさない。
垣崎は、事の根本に司法を向けろと暗示しているのだろうか。その点は捜査会議でも俎上に上げられた。
だが、国家中枢に手を入れる事に、何処か慮る気持ちが働いたような気がする。司法のトップも所詮は官僚なのか。
結局は現場の捜査官達だけが、真実司法の徒であらんとしているように思えて来た。
「糺せるところまで、糺します。でなければ、銃弾に倒れた捜査員達の無念が晴らせません……」
三山の言葉は、深く垣崎の心にも突き刺さった。
「本当に貴女は刑事らしくない人だ……お陰で墓場に持って行く筈だった話を引き摺り出された……」
微笑を見せた垣崎であったが、三山の目にはその姿が急に小さく見えた。
「本質を……」
「え?」
「見誤らずに……」
「それはどういう意味なんですか?」
「この国に潜むもの……潜んでいるものをしっかりと見つめていれば判ります。魑魅魍魎の館……何十年、何百年経っても、その館に巣を作る者は後を絶たない。貴女方が居る、直ぐ近くにその館がありますよ……」
「近く……霞ヶ関、ですか?」
「ええ……」
三山は2.26事件を思い出していた。その事件では、首相官邸や閣僚の公邸、国会議事堂等、霞ヶ関及び永田町が占拠された。
行動を起こした青年将校達は、当時の政治、政権の腐敗を正そうとした。決起側の言い分ではあるが、当時、世界的な恐慌の中で、日本の農民社会は貧困の極みに立たされていて、それに対し何等手を打たなかった国家体制を、変革させようという義憤からの行動であった。
今の日本を見れば……2.26事件から七十年以上経ったが、何だか日本を取り巻く情勢、環境が酷似しているように思えた。
日本を、国家というものを真に憂う者程、この国の政治や政治家達に義憤を感じ、焦燥感に身悶えるものかも知れない。政治に諦めを抱いた者は、何も行動を起こさない。
垣崎は、事の根本に司法を向けろと暗示しているのだろうか。その点は捜査会議でも俎上に上げられた。
だが、国家中枢に手を入れる事に、何処か慮る気持ちが働いたような気がする。司法のトップも所詮は官僚なのか。
結局は現場の捜査官達だけが、真実司法の徒であらんとしているように思えて来た。
「糺せるところまで、糺します。でなければ、銃弾に倒れた捜査員達の無念が晴らせません……」
三山の言葉は、深く垣崎の心にも突き刺さった。
「本当に貴女は刑事らしくない人だ……お陰で墓場に持って行く筈だった話を引き摺り出された……」
微笑を見せた垣崎であったが、三山の目にはその姿が急に小さく見えた。



