習志野駐屯地から飛び立ったヘリの一団が学校上空へ到着した時には、既に激しい銃撃戦が始まっていた。

 編隊を組み直したヘリは、援護制圧の為に先頭の一機が目前に迫る校舎へ向けて、20ミリガトリング砲を撃った。

 ホバリングしながら建物全体を撃つヘリの後ろから、降下部隊を乗せた編隊が校庭へ降りて行く。

 地上一、ニメートルの位置でホバリングするヘリから最初に降りたのは、部隊を指揮する飯田二尉であった。

 彼に続いて次々と空挺隊員達が校庭に飛び降りる。一機から十名前後の隊員が降りるのに、五秒と係らなかった。隊員を降下させたヘリはすぐさま上昇し、後続のヘリが時間を置かずに同じ位置へと飛来する。

 降下し散開した部下達を指揮しながら、最初の目標である体育館を攻撃した。

 テロリスト等の姿を確認してから攻撃したのでは遅い。建物そのものを破壊し尽くす程に銃弾を浴びせろ。

 出発前に受けた指令からの指示を飯田は忠実に守った。

 グレネードランチャーで幾つかある体育館の扉を破壊し、出来た開口部へ89式自動小銃を撃ち込む。その間に近付いた別な空挺隊員が、手榴弾を投じる。全てが訓練通りだった。

 飯田は体育館に一個分隊を残し、L字型に建つ校舎へ向けて部隊を三つに分けた。

 飯田が指揮する小隊は中央の出入り口へ向かい、他の二個小隊は左右に分かれた。

 警察側はまだ校舎の内部まで突入していないようだが、裏門から少し離れた場所ではまだ激しい銃撃戦が続いているようだった。