裏門で起きた銃撃戦の様子は、待機していた草間のイヤフォンにも届いた。

 耳に深見の声が何度も飛び込む。

 草間は反射的に行動していた。彼の部下も同様だ。体育館の扉に張り付いていた隊員の一人が小窓を短機関銃MP5の銃床で打ち破った。同時にもう一人の隊員が、MP5の銃口を突っ込み、マガジン内の弾が無くなるまで撃った。

 その時には草間と別な部下が校舎の扉へ体当たりをしていた。施錠はされてなく、二人は転がりながら内部へ入った。下駄箱が左右に並ぶ。

 体育館を銃撃した二人はそのまま扉を開け、グレネードランチャーで閃光弾を発射した。

 通常の手榴弾と同じ大きさの閃光弾は、殺傷能力こそ無いが、爆発時に凄まじい光を放ち、その場に居る者全ての視力を一瞬にして奪う。爆発と同時に隊員が中へ飛び込んだ。

 ゴーグルで自分の目を守っていた隊員は、無数のコンピューターの中で血だらけになった死体を見た。

 死体は一つだけだ。もう一人は何処だ?

 反撃に備え、銃を構える。その時、乱雑に並んだコンピューターの隅に蹲る人影を見た。

 銃を向けると、気を失って縛られた中年の男だった。服装から、一味の者ではないと判った。

「班長、人質と思われる民間人を発見!」

 インカムに届いた部下の声に草間は、

「後から来る機動隊に任せよう」

 と言った。

 体育館から二人の部下が戻って来た。

 草間は二人一組のフォーメーション体制を組み、校舎の内部へ入った。