病室の扉は開いていた。ノックをしようとしたが、先に三山の方が気付いた。
「河津さん」
「やあ」
「ごめんなさい、今片付けるから」
ベッドの上だけでなく、そこら中に本が山積みになっていた。
病室に入った河津が、一冊の小説を手にした。
「炎上……喜多島由夫か。高校の頃に嵌って読んだ事があった」
「私はそっちよりこれの方が面白かったけど」
三山は枕元にあった本を指差した。
「だいぶ具合が良さそうだね」
「お陰様で、来週辺りには退院出来そう」
「良かった」
「ありがとう」
「ところで、この前の話だが……」
「あら、ひょっとして手代木局長に話をしてくれたの?」
「待てよ。そう早まらないでくれ。俺個人がちょっと聞きたかったんだ」
「そう…で、どんな事?」
「君が最初に襲われた時の事をさ」
三山は、初め銃撃された時の事を言っているのだと思った。だが、問い返してみると、加藤と有楽町で会った帰りに襲われた件だと判った。
「河津さん」
「やあ」
「ごめんなさい、今片付けるから」
ベッドの上だけでなく、そこら中に本が山積みになっていた。
病室に入った河津が、一冊の小説を手にした。
「炎上……喜多島由夫か。高校の頃に嵌って読んだ事があった」
「私はそっちよりこれの方が面白かったけど」
三山は枕元にあった本を指差した。
「だいぶ具合が良さそうだね」
「お陰様で、来週辺りには退院出来そう」
「良かった」
「ありがとう」
「ところで、この前の話だが……」
「あら、ひょっとして手代木局長に話をしてくれたの?」
「待てよ。そう早まらないでくれ。俺個人がちょっと聞きたかったんだ」
「そう…で、どんな事?」
「君が最初に襲われた時の事をさ」
三山は、初め銃撃された時の事を言っているのだと思った。だが、問い返してみると、加藤と有楽町で会った帰りに襲われた件だと判った。



