「何をどう括れって言うんだ?」

「手を組みませんか?但し、時には上からの指示、命令を無視しなければならない事態になるかと思います。その覚悟があるならば、結果、柏原さんに手柄の全部を差し上げても構いませんよ」

「上を無視して現場だけで捜査するって事なら、とっくに腹は括っている。じゃなきゃ、こうして会っていないよ。だが、それで君は何を得られる?」

「柏原さんは、いずれサッチョー(警察庁)の要職に就かれる方だ。その時に、私も引き上げて貰えれば……」

「そこまで言うからには、言い掛けた話をちゃんと言ってくれよ」

「テロも含めて、全部が作られたストーリーだとしたら?」

 柏原の中で、どす黒い雲が渦を巻いた。そして、

「自衛隊の陰謀?」

 と、思わずこの言葉が口に出た。

「ね、とっぴ過ぎるでしょ。第一、自衛隊もテロに遭っている」

 そう言いながら、当の河津は少しも表情を変えない。

 その様子を見て、柏原は河津が何かを掴んでいるなと睨んだ。

「その仮説に思い至った理由は何だ?」

「別な事件で、ある捜査官から相談を受けましてね……」

 河津は、三山から持ち掛けられた話をし始めた。三山の名前を伏せて話したが、事件のあらましを聞いた柏原は直ぐに判った。