1970年の亡霊

「どうも俺は所轄のデカ達に快く思われていないからな……そうだ!」

 いきなり加藤が辺りを憚らずに声を張り上げた。

 喫茶室に居合わせた他の患者達が、びっくりした様子で二人に視線を送った。

「いきなりどうしたんですか?」

「あんた、まだ本庁に籍があるよな?」

「ええ。まだ辞表は書いていませんから」

「あんたが銃撃された件も、今回の件も、所轄扱いになっているが、川合俊子の件は今でも事故死扱いなんだろ?」

「ええ」

「そっちを事件性ありって事で、本庁扱いにするってのはどうだ」

 その手があった。

 別な角度から捜査に関わる……

「つまり、川合さんの事故死を本庁で事件として立件する為に、私が担当部署を動かせって事ですか?」

「あんたの同期とか、或いはライバルでもいい。事件に飢えている本庁のキャリアは少なくねえんじゃねえか?俺が動かせる人間は、せいぜい機捜の後輩位なもんだ。あんたなら捜査指揮を取れる人間を動かせるだろ」

 加藤に言われ、三山はある人物を思い浮かべた。

 でも、あの人が動いてくれるかしら……

 その人間が所属する部署なら、本庁直々で今回の事件を総括的に指揮する事も、ある意味可能だ。が、個人的には余り関わりたくない人物でもあった。