1970年の亡霊

「彼女の部屋を出る時に、メモリースティックとノートパソコンを持ち出したけれど、そのパソコンの方は、銃弾を受けて破壊されてしまった……パソコン本体にもっと重要な証拠が残されていたかも知れない。それか、違う形で残していたとか」

「本庁のパソコンは?本来、事件に関わる証拠とかは持ち出し禁止な訳だろ?まだ事件として立件していなかった案件だとはいえ、厳密に言えばメモリースティックに記録して持ち出す事は職務違反に相当する。本庁に残してあると考えるのが妥当じゃないか?」

「そうねえ……」

「あんた、今でも本庁に籍があるんだから、調べられないか?」

「本庁も爆破テロにあって、下山課長も殉職されたから……今の統括責任者は誰だったかしら?」

「調べてみるか?」

「課のパソコンやデータが爆破テロで破壊されていなければ、川合さんのパソコンをチェック出来るんだけれど。そうそう、彼女の部屋を調べたのって、確か加藤さんの後輩でしょ?」

「川合俊子の遺留品だな?」

「うん。念の為にそちらも調べる必要があるかも。何かそれらしいものが残っていなかったどうか、加藤さんの方で聞ける?」

「それはお安い御用だが……」

「どうしたの?」

「やっぱりあんたはデカそのものだな。捜査の話になった途端に、元のあんたに戻った」

「しおらしくないって言いたそう……」

 そんな事ないぞ、と言い掛けた言葉を加藤は呑み込んだ。